アトピー性皮膚炎の治療 ステイロイド外用剤
2017/09/28
アトピー性皮膚炎の症状を抑えるためには、通常ステロイド外用剤とよばれるぬり薬を使います。よく耳にするけど、本当はどんな薬でしょうか?
ステロイド(合成副腎皮質ホルモン)とは、「副腎皮質ホルモン」のひとつのことを指します。副腎皮質ホルモンは、人の体の中で作られるホルモンで、腎臓のすぐ上にある副腎という臓器から分泌されています。このホルモンには様々な働きがありますが、その中でも「体の中で起きている炎症を抑える」抗炎症効果が優れています。
ステロイド剤とは、自分の体が作り出す副腎皮質ホルモンでは皮膚の炎症を抑えきれないため、外から与えることでしっかりと皮膚の炎症をおさえることができるお薬なのです。アトピー皮膚炎のあかみや痒みなどの症状はまさに皮膚の炎症によるものですから、ステロイド外用剤でその炎症を抑えることで、改善することができます。
ステロイド外用剤強さ一覧表
ステイロイド外用剤の強さ | 一般名(成分名) | 代表的な医療医薬品名 |
最強 |
プロピオン酸クロベタゾール 酢酸ジフロラゾン |
デルモベート ジフラール・ダイアコート |
とても強い |
フランカルボン酸モメタゾン 酪酸プロピオン酸ベタメタゾン フルオシノニド ジプロピオン酸ベタメタゾン ジフルプレドナート 吉草酸ジフルコルトロン |
フルメタ アンテベート、アンフラベート トプシム リンデロンDP マイザー テクスメテン・ネリゾナ
|
強い |
プロピオン酸デプロドン プロピオン酸デキサメタゾン 吉草酸デキサメタゾン 吉草酸ベタメタゾン フルオシノロンアセトニド |
エクラー メサデルム ボアラ・ザルックス ベトネベート・リンデロンV フルコート |
ミディアム |
吉草酸酢酸プレドニゾロン トリアムソノロンアセトニド 酪酸クロベタゾン 酪酸ヒロドコルチゾン |
リドメックス レダコート キンダベート ロコイド |
弱い | プレドニゾロン |
(代表的な薬剤のみを記載しています。)
自分の症状の合わせた強さのくすりを使って治療が基本
いま症状がでている湿疹の状態や、その湿疹がでている部位、患者の年齢などを考慮して、医師が処方するステイロイドの強さが決められます。基本的にはその湿疹の炎症を抑えるだけのステロイドの強さの塗り薬を使っていって症状が治まるにつれて、その強さを弱めていくということになります。
近頃は、ステロイドを使用したくない、 副作用がこわいなど使用をおそれる患者さまもたくさんいるとは思いますが、間違った使い方さえしなければ、早くきれいに症状を収めることができると私は信じています。
例えば、いま自分の症状が悪化しているのに、ステロイドを怖がって弱い強さのステロイドばかり使っていると、結果的には炎症がきちんと抑えることができずにかきむしってしまったり、さらに悪化してしまうこともよくあることです。