アトピーケアの手引き

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アトピー性皮膚炎の治療薬 薬剤師が教えるステロイド外用剤

ステロイド外用剤の副作用

2018/08/26

 

ステロイド外用剤の情報が、いろいろある中で副作用についてはかなり間違っているものがあり、そのせいで本当はすぐにきれいによくなる症状でも、使うのを拒否した結果症状が悪化してしまい、治療が長引くケースが見られます。

それは、せっかく医療機関を受診しているのにも関わらずに、ステロイド外用剤の使用の拒否で皮膚の炎症を抑えられずに治らない・・・

医療現場で働く者として病状の改善を願っていますので、無念な思いでいっぱいになります。

「怖いから使いたくない」と言われれば、必ず正しいステロイド外用剤の副作用の情報をお伝えしていますが、残念ながら、説得できない場合はあります。

非ステロイドの外用剤ではアトピーのひどい炎症を抑えることができないし、薬が効かないと言って病院を変わられるので、いつまでたってもきちんと治らず、重症化するケースは残念でなりません。

いま、インターネットや週刊誌、いろんな情報媒体で、知りたい情報を得ることは簡単にできると思います。しかし、その情報が事実なのか、しっかりとした科学的根拠によって書かれたものなのか、必ずチェックしてみてください。

何を信じるかは、個人の意志だと思いますが、その情報が医療を学んだ医師のことばなのか、自分の友達の言ったことなのか、専門家ではない端的に知識をもった者などの記事なのか選ぶのはあなたです


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ステロイド外用剤使用で肌が黒くなるか?

よく調剤したお薬を説明しているときに質問されることが多いのが肌が黒くなるか?ということを聞かれます。実際は、ステロイド外用剤を使ったから肌が黒くなるわけではありません

日焼けの跡が肌が黒くなるように、皮膚の炎症が治まった後は色素が残り(色素沈着)、肌が黒くなるのです。やけどの跡で、皮膚が黒くなるようにみえるのも一緒です。

ステロイド外用剤を使わなくても、皮膚の炎症の後は残りますよね?虫刺されのあとが残っているとかありませんか?時間がたてば、その黒さも薄くなっていきます。

アトピー皮膚炎の症状があるときは炎症の赤みで見えなかった色素がステロイド外用剤の使用で炎症が治まることで、目立つようになるので黒くなったようにみえるのです。

決してステロイド外用剤を使ったからではありません。

 

ステロイド外用剤を一度使ったらやめられなくなるか?

これもよく聞かれる間違った情報です。

ステロイド外用剤は炎症を抑えるお薬ですが、上手に使用して炎症をきれいにコントロールできれば、やめることもできます。長期にお薬を使っている方は、しっかりと医師の指示のもと使われています。

ステロイドは炎症をおさえる優れたおくすりですので皮膚科領域のみならず、様々な分野で使われています。たくさんの方が使っているからこそ、いろんな情報がでてくるのは当然だと思います。

製薬メーカーや、医師などの医療系のホームページなどで正しい情報を使って、はやくきれいに症状がなおることができるように願っています。

ステロイド外用剤は皮膚に蓄積するか?

ステロイド外用剤は、皮膚に蓄積して、副作用がおおきくなるのではないか?そんな心配をしていらっしゃる患者さまもいます。

実際は、ステロイド外用剤は皮膚には蓄積することはありません。

おくすりを突然中止すると症状が悪化した・・と聞いたことがありますか?

もし、ステロイド外用剤が皮膚に蓄積できるなら、中止してもお薬が効いているはずなので、悪化することはありませんよね?このことからも、皮膚に蓄積することはできないことが事実であることがわかります。

 

ステロイド外用剤使用で、にきびができやすくなる

ステロイド外用剤を使うと、その部位の皮膚の免疫力が落ちてその部分に細菌、カビ、ウイルスがついて、にきびやおできができやすくなることがあります

この場合は、一旦、薬の使用を中止して、医師の指示による治療を受ければなおすことができます。

どんな薬にも、副作用は必ずありますし、治療を優先するのか、起こるかもしれない副作用を恐れて、使わないのも選択肢の一つだとは思います。

ステロイド外用剤で皮膚が厚くなって硬くなる

ステロイド外用剤で皮膚が厚くなることはありません。アトピー性皮膚炎の方が皮膚が厚くなったように見えるのは、皮膚に起こった炎症が慢性化してなった結果であり、ステロイド外用剤を塗ってなった結果ではありません。

 

ステロイド外用剤を長期に使用すると皮膚がうすくなる

よく聞かれる質問の一つですが、よほど長期に使わない限りならない副作用のひとつです。

たしかに、ステロイド外用剤を長期に使用して続けると毛細血管が浮いてきたり、皮膚がうすくなることは事実です。これはステロイド剤を長期に使用した時に、ステロイドが皮膚の細胞が増えるのを抑えてしまうために起こります。その結果、皮膚が薄くなってしまい、血管が浮き上がったようにみえるのです。

こういった副作用のことは知っておいて、もし長期で使用の方で、毛細血管拡張(血管が浮き上がってみえる)の症状を確認できたなら、速やかに主治医に相談してください。わたしは20年以上皮膚科の調剤をしていますが、あまりこの副作用が出ている方はであったことがありません

しかし、医師の指示を守っておくすりを使えば、避けることのできる副作用だと思います。

案外、医師や薬剤師の指示に従わずに大量に塗ったり、1日に何回も塗ったり、めちゃくちゃな塗り方をする患者さまは実際います。

医師の指示を守ることは大切だと医療現場のほうでもしっかりと伝えていきたいと思います。

ステロイド外用剤は顔が丸くなる?

ステロイド剤には、さまざまな作用がありますが好ましくない作用として(副作用)「糖尿病が悪化する」「顔がまるくなる」「骨がもろくなる」など知られています。

しかし、これらの副作用は大量に長期にわたってのみ薬や注射として全身的に投与された場合に起こるものです。局所に働く外用剤(塗り薬)では、このような全身的副作用が起こることは考えられません。

実際、私の薬局でも20年以上ステロイド外用剤を調剤していますが、そのような副作用が出た患者さまはおられません。したがって医師の指示に従えば、このようなことは起こりにくいと思います。

 

まとめ ステロイド外用剤は上手に使う

ステロイド外用剤はいま起きている皮膚の炎症をしっかりと抑えるためにつかうためのお薬です。

そのためには、「ステロイドは怖いから・・・」と勝手に医師の指示に従った塗る回数や量を守らないといつまでも治すことができずに治療が長引いてしまいます。

副作用をさけるためにも、正しい知識を持って、指示に従った回数、ぬる量を守ってください。


medi


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